TikTok killed the text site Star.


バグルスというバンドの”Video killed The Radio Star.”という曲を知っていますか?


この曲です。曲名は知らなくても聴いたことはある人が多いんじゃないかなって思います。


イヤホンがあったり、今月の通信制限まで余裕がある人は、良かったら聴きながらこの記事を読んでみてください。



さて今回の東京ヒヤリハットレポートでは前回のこくろーさんの記事を受けて僕もブログに関する話をしたいと思います。
まだ読んでない人は読んでみてね。)


ブログ、僕もかつて書いてました。
なつかしいな、高校生時代から書いてたんですよ。
オタクっぽい記事を書くブログと、クラスメイトや組んでいたバンドの友達とリンクを張りあっていたブログ。
今の中高生の方には、オタク活動をするための裏垢と、高校の友人達と繋がるための表垢を使い分けていたというと伝わりますかね。

当時、自慢のようになってしまいますが僕はオタクっぽい方のブログで記事をバリバリ書いていてソコソコ受けてました。
アマゾンのアフィリエイトでも漫画を自由に買えるくらいな額を稼いでいたのだから大したもんだ。とはいっても書いていた記事は、放課後ティータイムの中でりっちゃんだけ脚を開いて座っているけど、これはりっちゃんがガサツって訳じゃなくてドラマーはペダルに合わせて股を開いて座るからなんだよ、りっちゃんがむしろ一番女の子なんだよ!みたいなキショい記事だったんだけれども。
まぁキショくても普段からキショい長文をバシバシタイピングしていた訳で。慣れていたと自分でも思う。ぼんやりとだが思い返してみると僕の友人向けの方のブログも、他の同級生に比べると結構読まれていた方だった。
キショキショアニメブログ執筆で鍛えたテクで、ちっとは読みやすい文を書くスキルが身についていたのだろう。君のクラスにもいなかっただろうか? 校内のサッカー部には所属せず、わざわざユースチームのほうのサッカークラブに属し、クラスマッチの時だけその圧倒的実力を披露する猛者が。僕はそのキモオタVerだった。僕は大阪キモオータのユースでエースだったのだ。
僕らの高校時代なんてiPhoneを持っている奴はクラスでも1人か2人。まだまだガラケー全盛期だったから、ポイントになる文は画面に収まるように7文字くらいにしなきゃとか意識してたのはあの頃の3年F組の中で僕だけだっただろう。


「お、きよすけじゃん、昨日ブログ読んだよ!サイゼリヤでピザをもう一回チンしてくださいっていう話ウケたわ」
「きよすけ君が言ってたフジファブリックのCD貸してよ~」
確実にイケていた。あの頃の僕は。  今とは違う。
昔の高校生はネット上で40人くらいのクラスの中で1番面白い文を書ければ、それだけでイケてるやつになれたのだ。

では翻って今の高校生はどうだろう。
有名な高校生youtuberは今やたくさん居るし、tiktokなんてかわいらしいJKだらけだ。
踊っているのか、顔を見せたいだけなのかよくわからない振り付けで、聴いたことない曲と共に楽しそうなわちゃわちゃで人気を博している。きっとクラスのかわいいあの子も、面白いあいつもネットの有名人と比べると魅力に欠ける。
たぶん文章、テキストデータだけで人気になれる時代は終わってしまっていた。

今回紹介した曲は同じような悲劇を歌ったものだ。
ラジオが全盛期の頃の歌である。
当時のスターに求められる条件は優れた「音情報」を出力できるかどうかであった。つまりそれ以外は問われないわけで、見た目なんてどうでもよかったのだ。
例えば学校で虐められて、その悔しさをバネに音楽一本で成り上がりを果たすような人たちでヒットチャートは溢れていた。
そんな時代がビデオつまり映像技術の登場と共に終わる。スターに見た目も求められるようになることで、一つの時代が終わることを歌った歌、それがVideo killed The Radio Starだ。

僕はkillされたくない。 TikTokに、Youtubeに。僕はまだkillされたくない。
僕はテキストだけで40人ちょっとのクラスの中でちやほやされていたあの感覚をまだ忘れられないのだ。テキストの面白さ、中身の面白さが純粋な面白さなのだとまだ心のどこかで信じてしまっている。
僕はバズには邪魔なチンコが付いている性別だからかわいくもないし、そもそもカッコよくもない。簡単にはバズれない人間であることは自分が一番わかっている。

それでもなんとか小ウケくらいはできないものだろうか。時代の覇者にならなくてもよい。スポットライトは美男美女に譲る。

僕は炎上やハラスメント、嬌声や巨乳を使わずとも面白いものは作れると信じている僕みたいなやつのために生きていきたいのだ。