おそらく どこの病院でも共通することなのだと思うが、10月は内科は患者さんが減ってヒマになる。

 当院も多分に漏れずヒマになり、外来で ポケ―っとしていたのだが、衝撃的なニュースが入ってきた。


>診療所経営は極めて良好、診療報酬「マイナス改定を」 財政審が提言


ほへ


 なんか、医師会の会長か誰かが、「物価上がってるんだから診療報酬上げろ」っていう話してなかったっけ?

 財務省が反論してきたってこと?


 とりあえず見出しだけを見ても 内容というかニュアンスが よくわからなかったので、ニュースのソースを確認することにした。

 これまでも、増大する社会保障費について 財務省は ちくちく文句は言っていたのだが、2023/11/1に、普段出す資料からすると だいぶボリューミーな、166ページもある資料をアップしていた。


自分に関係のありそうなところだけ とりあえずサクッと呼んでみたのだが、第一インプレッションは、


「財務省、ガチギレやん」


だった。

 なんというか、熟年離婚しそうな夫婦の口論を見ている気持ちというか、なんというか、積年の恨みがドバっと噴射されたような印象を受けた。普段からの小言が全く聞き入れられず、ついにブチ切れた感じ。


 自分と直接かかわりのある範囲については、「えっ、だいぶ的外れじゃないすか?」という感想を抱くスライドもあったりするのだが、全体としては、「まぁ、言いたいことはわかるよ」「え、それ分かってんなら早く対処してよ」と感じた。

 あくまで財務省が発表している資料なので、基本的には公衆衛生的な観点は薄く、どれだけ節約できるのか、というところに主眼が置かれていることは間違いないのだが、にしても この資料には現時点の日本の皆保険制度が抱える問題点が よくまとまっている。ごもっともだと思う言い回しも多い。


 日本の官僚、それもエリートであるらしい財務省の官僚たちが、大っ嫌いな医者への恨みを爆発させて作り上げた資料、これはもう紛れもなく特級呪物である。こもっている怨念の量と質が段違いである。


 悪口を言われた側ではあるのだが、それでもこの資料に賛同するところは やはり多い。

 日本の皆保険制度の問題点を「お金」の面からメインで糾弾したこの資料、今後の保険診療と お金の関連を占う上でとても重要で貴重な資料である。


 資料中で名指しで批判されている東京都港区の いち開業医としての観点も踏まえ、この資料を読み解いていきたいと思う。


資料はこちら

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_sy...


この資料のセクションは、次のように分かれている。

1.総論・少子化対策

2.診療報酬改定

3.介護報酬改定

4.障害報酬改定

5.改革工程のとりまとめに向けた取組

6.その他


 とにかくこれは熟年夫婦の口論なので、結構 同じことを言っているスライドも多い。言っている回数が多いもの、それは普段から感情が より乗っかっている事柄なのだと思う。


 と、ここまで序文を書いて、この後に続く資料を全ページ読んでみた。

 さくっと要点をまとめると、こうだ。


・全ての世代で能力に応じて医療費を負担しましょう

・子育て支援は拡大します

・2024年度改定においては、診療所の極めて良好な経営状況等を踏まえ、診療所の報酬単価を引き下げること等により、現場従事者の処遇改善等の課題に対応しつつ診療報酬本体をマイナス改定とすることが適当。(原文ママ) ←日本語おかしくない?

・保険点数1点10円固定をやめて、診療所が足りないところでは売り上げを上げて、そのぶん過剰な地域から減らしましょう

・医者以外の処遇改善は、とにかく財務省は金出さないから、医療機関側でやってね

・医療法人の経営状況や医師の給与の割合などを もっと細かく把握したい

・介護の人材派遣会社の手数料も高すぎ

・医師の人数は増えてるのに、地方勤務医が減ってる。だから、都市部の診療所の診療報酬を下げます

・自由に開業できる現状に歯止めをかけるべく、都道府県知事の権限強化を検討すべき

・高額な医薬品について費用対効果を見て保険対象とするか判断する、医薬品の有用性が低いものは自己負担を増やす、あるいは、薬剤費の一定額までは自己負担とする方向を目指す(1億を超えるような薬価の薬とかが例に上がっている)

・リフィル処方箋やりましょうよ

・生活保護の方も国保に入れましょう

・75歳以上の後期高齢者の窓口負担を原則2割負担とすることも含めて検討すべき

・後期高齢者も、金融資産等を考慮に入れた負担を求めるべき


細かい部分については下に書いてあるので、超ヒマな方はご一読ください。


 いままで、医療界というのは、とてもとても守らていたのだと思う。正直、僕から見ても、「えぇ、なんでこれで潰れてないの…?」と思う病院は多い。医学部入試も医師国家試験も、経営や人格については ほぼ問うてこないので、「いや、ダメだろそんな経営じゃ」とか、「えぇ…院長 こんな感じのひと…?」と思うことも結構多い。でも、そんなヤバい人たちでも、始めてしまえば ほぼ潰れないのが 今までのクリニック経営だったのだ。しかし、日本の経済も上向かず、財務省もお金を出したがらなくなり、民間企業には早めにその しわ寄せが来ていたが、とうとう守られていた医療界にも影響が出てきた、ということなのだろうと思う。

 なので、逆に言うと、いわゆる普通の人、少なくとも医療を除く面が平均以上の医師は、すぐに職に困るとか、そういうことはないと思う。これを読まれている医師の皆様にも、心当たりはあると思う。クラスに居たじゃないですか、明らかにヤバい奴ら。ああいう奴らから切られていくと思うし、逆に言うと、「アレ」が切られ始めたら、次は普通めの人も切られていくというサインなのだと思う。


 医師免許を持っていれば それだけで一生安泰、じゃなくなっていく節目が来たという話だと思う。


 じゃあ、保険診療から逃げて自由診療に行こう!美容は楽に稼げるっしょ!と 単純な話でもなくなってきている。

 まず、美容業界の市場規模だが、もちろんいろんな見方やデータがあるのだろうが、こういったデータを紹介しておこう。

https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3286#:~:text=2022%E5%B9%B4%E3%81%AE%E7%BE%8E%E5%AE%B9%E5%8C%BB%E7%99%82,%E3%81%AE%E6%B0%B4%E6%BA%96%E3%81%AB%E5%9B%9E%E5%BE%A9%EF%BD%9E

ソース:美容医療市場に関する調査を実施(2023年)


 美容業界の市場規模は、ここ5年、頭打ちなのである。

 なのに、美容業界に参入する医師は毎年増えていて、恐らく今後も その傾向は強い。


 保険も先細り、美容も先細り。

 さてどうしましょうね。


 いや、でもやっぱり、クラスに居た ヤバい「アレ」が、医師免許を持つだけで生き残れていた、そっちのほうが自然でなかっただけだと思う。

 この話は、つまるところ、


 医師免許をとっても、それだけで安心することなく、何らかの強みを身につけましょう


 ということに尽きると思う。

 手放しで楽はできない、そういった話。


 今回のこの資料は、あくまでも財務省が出した資料である。最終的に具体的なことを決めるのは厚生労働省なので、なにもこの資料に書いてあることが全て適用されるとか、そういったことではない。

 しかし、あくまでも政府が出した文章であるわけで、少なくともある程度の話は裏でついているのではないかと思うし、お金を出す側の財務省の意見が、結局最終的にはお金をもらう側の厚生労働省より強いのは しょうがないとも思う。財務省も、別に悪意がある訳じゃないよね? お金がないだけだもんね? ……よね? 信じるよ?


 僕も今年30歳。恐らく あと50年くらい人生がある。

 10年巻き戻して 学生の頃は、ガソリンスタンドで深夜勤務を5年くらいやっていた。あの頃は、十二指腸潰瘍を たくさん作りながら、夜の凍てつくスタンドでゴミを漁りながら、洗車で両手がボロボロになりながら、1時間当たり1,000円を貰って喜んでいた。

 今は、クリニックで「先生」と呼んでいただけながら、大してキツくもない外来を回すだけで、1時間10,000円くらい入るようになっている。

 確かに、給料高ぇよな とは思う。ワクチンバイトなんか行ってぼーっとしてたら時給1万は、さすがに確かに世の摂理から離れている気もする。


 でも、そんなことが分かってたから、高校生までに勉強を頑張っていれば時給が10倍になることがわかっていたから、やりたくもない勉強を頑張ったわけで、それなりに面倒な医学部時代のカリキュラムをこなしたわけで、今がある。


 別に宝くじが当たって こうなったわけではない。


 努力するタイミングは早いほうが良いと、早い段階で気づく頭の良さがあったから こうなっている。

 将来頑張らなくていいように、早めに頑張ったのだ。


 でも、この資料を読んで、過去の努力に胡坐をかいて一生ラクできる世の中ではなくなってきていることを自覚するべきなのだろうなと思った。

 それにも早く気付く頭の良さが無いと、残り50年がキツそうだ。


 最初のニュースを見たときは「あぁ?」とキレ気味だったが、落ち着くと、これからの医療界を見通す良い資料であるなと思った。承服しかねるところも多々ありますけどね。


 苦労は続くみたいですよ、医師の皆さん。

 頑張っていきましょう、将来 頑張らなくて済むために。



以下に、資料を抜粋してポイントを書いたので、原文を読む時間がない方は↓をご覧ください。

でも、原文読まれた方が良いと思いますよ。



【1.総論・少子化対策】



>世代型社会保障制度の構築

> 全ての世代で能力に応じて負担し合い、必要な社会保障サービスが必要な方に適切に提供される制度を構築○ 「全世代」はこれから生まれる「将来世代」も含むものとして考える


これ、最後の方のスライドで


>昨年10月には一定以所得以上の後期高齢者に2割負担が導入されたが、年齢ではなく能力に応じた負担という考え方に基づき、これを更に進め、原則2割負担とすることも今後の課題ではないか。


と言っているのですが、それの伏線ですね。年齢とか関係なしに医療費が負担できる人は負担してください、ということですね。

これからも、基本的には小児医療の予算は削られない方向なのだろうと思います。特に東京都内が該当しますが、18歳以下の医療費は一切無料です。竹内は基本的に、どんな状況でも医療費を無料にすることには反対です。どんなに少額でも、一部負担させないと、過剰診療がちになるのは間違いないと思います。逆に経営者側の観点から言うと、小児科の開業は有利だと思います。患者さん側からしたら無料なので、何度でも通院してくる方も珍しくないそうです。


>3年間(変革期間)に対応する3報酬改定(医療・介護・障害)

>【岸田総理所信表明演説(2023年10月23日)】

>高齢化等による国民負担率の上昇に歯止めをかける。

>所得の増加を先行させ、税負担や社会保障負担を抑制することに重きを置いて経済財政運営を行う。

>高齢化等による事業者の収益の増等が処遇改善に構造的につながる仕組みを構築する。


まぁ、所得を上げるみたいな話は我々は門外漢なので、頑張ってください。

マイナ保険証は推してきますね。これも口述しますがズル防止&管理能力拡大だと思います。


やはり、児童手当の拡充は2024年度中やるみたいですね。所得制限も撤廃するそうな。小児科開業 強いですね。

まぁ、税金を より多く払ってる家庭が補助貰えないの、そもそも矛盾してますよね。

男も育休 もっととりましょうとのこと。


ほいで、そういう事をしていくのにお金結構使ってますという話です。これをどっから出すか。



とにかく、現役世代の社会保険料負担が重たいと。



診療報酬を1%上げると歳出が3,000億円も上昇するんですよ、と。

バカ言うな これ以上 上げるかよ、というメッセージに見えますね。



このへんあたりから熱意がこもり始めていますね


我が国は「国民皆保険」「フリーアクセス」「自由開業制」「出来高払い」であると。

患者にとっては負担が少なく医療にアクセスでき、医療機関側は専門家なのをいいことに不必要な診療行為を重ねて稼いでいると。

これを解決していこうということで、2章に入ります。


【2.診療報酬改定】


【総論】


>診療報酬本体、薬価など、保険償還の対象となるサービスの価格については、国民負担を軽減する観点から、できる限り効率的に提供するよう、診療報酬の合理化・適正化等を進めていく必要。

>2024年度改定においては、診療所の極めて良好な経営状況等を踏まえ、診療所の報酬単価を引き下げること等により、現場従事者の処遇改善等の課題に対応しつつ診療報酬本体をマイナス改定とすることが適当。


ほう。

文章を繰り返しても意味ないと思うので、独断と偏見を入れて翻訳します。

無駄な医療行為が多いから減らしましょう

と、診療所さん、君らコロナで稼ぎまくったでしょ? だから診療報酬下げること等により、現場従事者の処遇改善しますね


…ん?「売り上げ減らさすことにより、現場従事者の処遇改善する」…?

日本語がおかしくない…?


資料中でも、【診療所の極めて良好な経営状況等】という言葉が何度も何度も出てくる。財務省官僚の怨嗟が こびりついてる。


なんにも改訂しなくても、医療費は4400億円の増額になると見込まれています。と。

だから歳出 減らしましょねー。と。


>診療所の極めて良好な経営状況等を踏まえ、診療所の報酬単価を引き下げること等により、現場従事者の処遇改善等の課題に対応しつつ診療報酬本体をマイナス改定とすることが適当。これにより、現役世代の保険料負担等の軽減による手取り所得を確保する(=変革期間における経済政策との整合性)。


また出た。【診療所の極めて良好な経営状況等】。

こっちは日本語がまだ正しい。売り上げは減らさすけど、現場の処遇は充実させるよ、と。


>診療所

>近年の物価上昇率を大きく上回る単価増・収益増や、極めて良好な経営状況等を踏まえ、初診料・再診料を中心に報酬単価を引下げ


わかったって、「極めて良好」。省内で流行ってんだろ、「極めて良好」。


>診療コストにきめ細かく対応する地域別単価の検討

>マイナ保険証利用時の患者負担の軽減

>リフィル処方箋の利用実績を踏まえた調整措置


地域別単価。こちらも具体的なものが後述されます。

マイナ保険証は僕は賛成です。

リフィル処方箋(診察なしで再度使える処方箋)。これも僕 賛成です。薬もらうだけの外来 いらないよね、確かに。


>病院

大きい病院の経営難は しっかりわかってるっぽいですね。高度な医療も安すぎるんだよな。あと 医療機器っていちいち高いし。


>新型コロナ初年度である2020年度は患者数の減少等により医療費(=医療機関の収入)は一時的に落ち込んだが、それ以降は、コロナ前を上回るペースで医療費は増大。

>これに加えて、この3年間、巨額の国費(補助金等)が医療機関に交付されており、病床確保料、ワクチン接種支援だけでも過去3年間で5兆円に上ると見込まれる。

>今後、病床確保が不要となれば、診療報酬の対象となる病床の稼働率が上昇し、更なる医療費の増加要因となる可能性。


コロナ中は医療費が少し下がったけど、それは回復してきてるよね。てか、医療機関に補助金いっぱいあげたよね?だから回収するよ? というニュアンスでしょうか。


これは竹内も強く思ったことではあります。コロナ禍中って、一部を除いて病院はクッソ暇だったんですよ。コロナに直接関係のない診療科は、特に暇だったと聞きます。「医療って、エッセンシャルワーカーだと思ってたけど、不要不急だったん???」と強く思いました。これは診療所を経営していて思うことでもあります。診療所って、雨が降ると基本的に患者さんが減るんですよ。え、雨降ってるくらいで行かないもんなんですか?病院って??と思うが、マジでそうなのです。だいたい雨が降ると3割くらい売り上げが下がる。そういうもんなのです。

これは逆に言うと、医療費の削減の余地があるということでもあると思います。無駄な医療も確かに多いです。喋り相手が居ないからシップだけもらいに来るご老人とかが地方の診療所では多いと聞きますし、まぁ、それもメンタルヘルスケア的な観点もあるし100%悪いとも思わないが、財務省的には そこ削れや、となるのでしょうな。


高齢化社会で医療費は年2-3%で増大しているそうな。他業界の良い方に改めると、保険医療というのは年2-3%市場規模が伸びている業界ということですな。ちなみに、自費診療≒美容医療は、冒頭でも書いたように、ここ5年くらい市場規模が頭打ちです。でも、美容医療に進む医者は とんでもない速度で増えてます。特に都心はすごいです。


医療費の財源は公費負担が37%らしい。これは知らなかったというか普段意識しないから ふーんと思いました。

患者の直接負担は約14%らしい。我々 通常3割負担の若者からすると、なるほど低いですね。

で、その費用が何に使われているかというと、人件費が50%、医薬品が20%というかんじらしい。

あとは必要経費25%で、あとは物品とか機会とか。

これもそうなんですね、なるほどといった感じ。勉強になります。

でもこれって「医師等の人件費」って書き方、これもなんかまたイヤミったらしいですよね。「人件費」でいいじゃねぇか。そんな医者が美味しい思いしてるって言いたいかい。

で、診療機関別で言うと、病院が50%。診療所が20%、薬局が20%という感じらしい。

おいおい、p24 スペース余ってんじゃないか。なんでこれだけグラフがないんだよ。診療所の悪口を言いたいがために、印象操作しているように見える。

診療所が医療費を爆食いしてるわけじゃないじゃんか、これだけで見ると。もちろん病院のほうが高度なことしてるから売り上げ大きくなるけどさ。


要はこれは、医療業界に我々財務相が これだけお金あげたんだぞ、覚えてろよ、という請求書一覧である。

よく言われるんで言っときますけど、僕がやっている たけ内科、コロナ禍中はPCR検査は完全に自費でやってましたからね。財務省様をはじめ お国様には1円もいただいておりませんですよ。むしろ めっちゃ税金払ってます。数億円払いました。


病院さんたちは補助金もらってウハウハでしたよねー ^^ 返してねー ^^ だそうです。

この辺詳しくないんですけど そうなんですかね?


病院は経費のうち医師の給与が15%で、診療所は30%ですねと。許せんと。

あと、光熱費の負担って経費全体から見ると2%とかっすよね? 影響ほぼなくない? と。

さーこっから本番です。


【診療所】


物価上昇率は1%なのに、診療所にかかっている医療費は4.3%も増加してますよね? あんたらウハウハですよね? と。



>診療所の収益は過去2年間で12%増加する一方、費用は6.5%増加し、経常利益率は3.0%から8.8%へと急増。この間、利益剰余金は約2割増加(看護師等の現場従事者の+3%の賃上げに必要な経費の約14年分に相当)

お金ありますよね? と念押し


>過去の「医療経済実態調査」において、診療所の収益率は、病院よりも一貫して高い傾向にあったが、直近3年間の医療法人の事業報告書等を集計した財務省の機動的調査においても、診療所の収益率は病院より高いことが確認された。

>直近2年間の診療所の平均的な収益率は極めて高水準にあることや、利益剰余金が積み上がっていることを踏まえ、診療所の報酬単価を引下げ、保険料負担減・窓口負担軽減につなげる必要。

だからこそ、診療所の診療報酬を下げなければならないのです!!!!と。盛り上がってまいりました。Aサビです。FerventeでCon sentimentoでffで。


医療法人は75%が黒字です。イジメましょう。


>診療所の数は、総患者数は微減傾向にある中で、一貫して増加。そうした中で、地域間の偏在の問題は解消されてない。

>医師偏在対策として、開業医から病院勤務医へシフトすれば、医師偏在は相当改善される旨の指摘もある。


都会の診療所にばっかり医師が集中しているから、勤務医を増やせば医師偏在は解決するんじゃない?ということらしいです。

後でも言いますが、この資料、ずっと、「一応保険医療機関として登録している、美容しかやらない診療所」の存在を無視してるんですよね。

都心はそれで診療所数がカサ増しされているのもありますって。まぁ、わかってやってるんでしょうが。


>診療所の報酬単価の引下げのほか、診療行為のコストによりきめ細かく対応する観点から地域別の報酬体系を検討する必要がある。


ほぉ。都心は家賃がめっちゃ高いから、そのへん考慮してくれるんでしょうか。


1点10円固定をやめて、診療所が足りないところでは売り上げを上げて、そのぶん過剰な地域から減らしましょう!!

都市部の医療サービスの質を悪くして、地方の医療サービスを拡充させましょう!


なるほど。もちろん そろそろあるであろう選挙のこととかも視野に入ってると思うので、地方・高齢者は票を持っているわけで、いじめるとしたら都市部・若者になるんでしょうね。

しかし、売り上げの削り方が何十%単位って。

都市部には診療所が必要ないですよ、ということでしょうか。都市部の方が家賃は高いわけで、より経営が難しくなっていくと思われます。


医者の給料が どのくらいあるのかをはっきりさせたいみたいですね。

もっと搾り取るための布石でしょうね。こんなに稼いでて許せないでしょ、と。


マイナ保険証をゴリ推したいと。それに伴って、マイナ保険証を使ってもらえれば、診療報酬に2点を加算します!!!! と。

2点て。20円やんけ。都心だとこれが18円とかになんのか。

売り上げの方は数十%削るとかの削り方なのに。


薬をもらうだけの外来を減らしましょうと。これは賛成です。


【病院】


地方の勤務医が一番大変よな、という話ですね。

まぁこれも賛成です。

まぁしょうがないんですけど、当直の時間外労働時間としてのカウント方法、確かに難しいですよね。別に仕事なくても帰れないってだけで一定ダメージあるしなぁ…。


医者以外の処遇改善は、とにかく財務省は金出さないから、医療機関側でやってね と。

【調剤】

専門でもないし、あえて省きます。

【薬価】

ここも偉そうに言う知識がないので省きます。


【経営情報の見える化】


>医療機関の経営状況の分析が容易に行えるよう、全都道府県において医療法人の事業報告書等のオンラインでの閲覧が可能となるよう要請することの検討


医療法人って、そもそも営利目的での開設って許可しないことになってるんですよね。(だから、余剰金の配当とかも無い)これ 前々から疑問ではあって、自費診療の医療法人って、確かに最初っから矛盾した存在ではあるんです。

だから国が経営状況を握る、というのは まぁそうかなとは思います。

ちなみにウチは個人事業主としてやっているので、医療法人持ってないです。


p66-74


とにかく、今の調査の信頼度とか低いし、もっとしっかり把握したいということみたいです。

今後、医療法人での経営って面倒かもしれないですね。


【医療DXの推進】


とにかくマイナンバーカードを推進したい理由も なんとなくわかりましたね。管理できる条項を増やしたいというか、足場になるからなんですね。

でも、今も診療所から大学病院に紹介したら とりあえず採血ぜんぶやり直しとか、CT撮り直しとか明らかに意味ないなと思うこともあるので、ゆくゆくは全てのカルテが一つになったりすればいいなとは昔から思ってます。覇権争い ヤバくなりそうですが。


まぁだから、節約したいってことですよね、最終的には。賛成です。


【介護報酬改定】

ここも専門ではないので、気になる方は生資料をお読みください。


人材派遣会社の手数料にも切り込むつもりみたいですね。この辺は全く詳しくないので どなたかの解説聞きたいです。


【障害報酬改定】

こちらも割愛させてください。でも基本的には予算が厳しいと言っています。


【改革工程のとりまとめに向けた取組】

こっからがBサビにあたりますね。結局なにしていくの? という話です。


これが、今から具体的にやっていくことの具体例まとめページですね。


>診療所数が増加の一途をたどる中で医師の偏在問題は解消されていない。


医者増やしてんのに、地方に医者が増えてないという話ですね。

これに対して、地域枠を設けることで医師偏在対策をしていると。

これが一個 大きな勘違いなんですよね。

地域枠を増やしても、あんまり地域の医者は増えません。

僕が出身の佐賀大学も、地域枠が結構多めの大学です。

地域枠で入学するとお得なポイントが主に二つあります。

①地域枠でない受験生より点数が低くても合格できる。

②地域に残れば返さなくていい補助金が貰える。(地域から逃げたら返済義務がある)

僕は地域枠でなく一般枠での入学なのですが、地域枠で入った人間、一般枠で入った人間、どちらも地域に残りたがらなくなる傾向にあります。

一般枠入学の僕らからすれば、「え、せっかく地域枠の奴より勉強頑張って高い点数で入学したのに、卒業したら地域枠の奴らと同じ職場? ふざけんな都会行くわ」となります。

地域枠入学の人からすれば、「え、地域って入試も楽になってお金も貰えて残らされるような状況なの?残りたくねぇなぁ」となります。

いまは、地域枠=罰金と懲役があるという構図になっているので、自ら進んで地域に残ろうと思うような医師が減る構図になっているんですよね。

本資料では、地域枠のさらなる増強みたいなことは書いてないので、たぶん この現状はある程度伝わっているのでしょうね。

(逆に言うと、財務省官僚の医療業界への解像度、割と高い気がします。そのぶん恨みも強いのでしょうね)


そして、主な改革の方向性ですが、


>大学病院等からの医療機関に対する医師派遣の充実・ 地域医療介護総合確保基金を活用した更なる支援

>診療報酬の適正化・ 診療所の報酬単価の適正化・ 診療コストにきめ細かく対応する地域別単価の導入

>外来医療計画における都道府県知事の権限強化

>医学部の定員適正化

>自由開業・自由標榜の見直し


らしいです。


患者数は増えてないのに、診療所の数は爆増していると。

美容のクリニックが2020年時点で1,500院くらいあるらしいので、保険の診療所も増えてるんですね。これは知らなかったです。

そして、医学部定員、こんなに増えてるんですか?? これも意識してなかったです。医学部の新設って1件だけだったはずなので、各大学がちょっとずつ増やしてるんですね。



 これは、地域枠の弊害もあるとおもいますし、医学部が完全な学力試験による入試になっているからだと思います。

志が高くてもアホだと医学部は受からないので、医学部入試が学力試験然としていけばいくほど、志の高い医者は減っていきます。

 そして、未成年が めんどくさい学力入試を突破できるモチベーションを保てるのは、「稼ぎたい・楽したい」、こういう俗っぽい志です。

 医師として他人を助けたい、そこに儲けなどいらない!みたいな薄くて綺麗な羽は、魑魅魍魎渦巻く受験業界ではあっさり折れます。受験生ってだいたい未成年ですよ?そんなガンジーみたいな志を掲げつづけて入試に挑めるやつなんか そうそういませんって。ガンジー(18)でも無理。ゴミ漁ってたくましく生きるカラスが最後は勝つんです、入試なんて。

 加え、今は医学部合格後の勉強も、結構大変になってきています。各診療科の知識も年々ふえていきますし、そもそも裏口入学がしにくくなった学力試験一本で医学部に入ってきた連中同士で戦わなければいけないので、医学部入試の難易度上昇は、すなわち医学部入学後の生活の大変さに繋がっています。最終的な医師国家試験は、受験者の内 下位10%を不合格とする、という試験なので、個人として どれだけ優秀でも、周りの受験生が もっと優秀である場合、普通に不合格になります。最終的には、医学部を卒業した人の内、4-5%が医者になれないまま諦めることになるそうです。(そもそも、学力不足などで医師国家試験を受験する前に退学していくひとも合わせると、10%くらいに上るのでは、とも言われています。)

 で、そんなこんなで、入試も頑張って、医学部での生活も頑張って、やっと医師国家試験に合格して、今から やっと自分の人生が始まる!楽できる!稼げる!! となっているときに、

 「大学病院に残って地域で働こう!給料も低いし労働環境も過酷です!」

 って、目の下にクマができまくった先輩に言われても、当然 残りたいと思わないですよね。

 医師の地域偏在を解消したいのであれば、医師の学力試験一辺倒を是正することが根治療法だと思います。

 か、地域で過酷な労働を強いられている医者が脱毛問診しかしてないような医者より稼げるような状態にすることだと思います。

 この2択以外ありません。


 医師なんて、アホ以上 天才以下がやればいいんですよ。天才は もっと未来の為になる職業に就くべきです。

 医師のような、マイナスを0にするための仕事に就くべきじゃないです。

 天才には、0からプラスを生み出していってもらわないと。



 これが言いたすぎて同じスライドまたもってきてますね。

 んー、地域の医療を推進するために、都会の診療所を減らす、は どうなんでしょう?

 もちろん、財務省が自由診療のクリニックに文句を言う権利はない、というか管轄外だと思うので、メスを入れるとしたら都会の診療所、ということになるんでしょうけどね。

 あとまぁ、選挙のことも考えると、地方医療の縮小みたいなことは言いたくないでしょうね。

 でもこれ、自己負担分にも適用なんですかね? そしたら、地方は窓口負担が多少増えることになりますが…。医療機関への振込分だけ削る感じになりそうですね。

 「医師偏在を是正するために、都市部の診療報酬を下げます!」は、診療報酬を下げるためにあんまり関連性のない医師偏在を言い訳に持ってきてるだけじゃないですか?前半と後半の関連性が薄いというかなんというか。

 医師偏在の根治はp125のところで言ったようなことが大事です。お金もそうなんですけど、感情の話なんですよね。地方に残りたくないのって。

 あと、家賃とか人件費とか、都心のほうが どう考えても多いので、そこに対しての言及とか全くないんですが…わかってるでしょうに



今後、医師は余ってくから医学部定員を減らす方向だそうです。

でもこれって、実はもっと簡単な方法があって、

医師国家試験の合格者数を減らせば、来年からもう医師数減らせるんですよね

でもそんなことしたら、医師国家試験の合格者が、テストが頑張れる飢えた若者ばっかりになっていくから、更に都会に集まりそうだなぁ…。

むずかしいですね。



>2020年度の「外来医療計画」に基づくガイドラインにおいては、「外来医師多数区域」において新規開業を希望する者に対しては、不足する医療機能を担うよう要請することとされているが、一部の都道府県では、そもそも要請を行っておらず、また、要請を行っている場合でも、新規開業者に担うことを求める機能が不明瞭な場合もある。厚生労働省の調査によれば要請に従っている新規開業希望者は7割程度。


これなんですけど、正直、僕もあんまり意識してなかったです。僕はコロナ禍の最中にコロナ専門クリニックを立てたので、それでそういった話が無かっただけなのかもしれないですね。(僕の病院は書類の提出とかも僕が全部やりました。コンサル使ってないです。)


>「外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」が必ずしも徹底されていない現状を踏まえ、その実効性を担保するため都道府県知事の権限強化について検討すべき。


開業が許可制になっていくのかもしれないですね。これも、おおむね賛成です。現状がフリーすぎますよね、確かに。



外国は開業の規制厳しいんですね。(まぁ、財務省に都合のいい国だけ持ってきてますけどね)


【医療提供体制】


病床数が多すぎると言ってますね。人口当たりだと高値が最大で神奈川が細小…? 都市部の方が病床数って人口当たりだと少ないんですね。

高齢化社会か。

令和4(2022)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/22/...

ほー。病床数でみると九州ってかなり充実してるんですね。むしろ都会は人口当たりだとベッドが少ない。東京の病床がすぐにキャパオーバーするのって、ベッド数が人口に対して そもそも少ないんですね。

診療所の時に東京は病院が余ってます!!みたいな印象をつけたかったから、ここでは病床の話とかはしないようにしてんな?さては。

都合のいいように数字を持ってきている側面もありますね。そりゃそうか、なんでも。

ほんじゃ、東京であまりに余ってる(と言われている)診療所を、一部 有床診療所にしていけばよい…?


【都道府県のガバナンス】



右下に、しれっとすごいことが書いています。


>生活保護受給者の国保加入


これ、前から結構言われてますけど、検討に入るんですね。素晴らしいと思います。

小児の医療もそうですけど、完全自己負担なしは 良くないと思います。


> 現在、取組を進めている保険料水準の統一や高額医療費の共同負担の仕組みにより、高額医療費負担金が果たす機能は現時点においても極めて限定的であり、いずれその役割を終える。国保運営の予見可能性を高めるためにも、廃止に向けた道筋を工程化すべき。


これも…すごいですね。仰る通りだと思います。生物学的製剤なんてウッソみたいに高い薬とか めっちゃありますし、ある程度の制限は必要だと思います。1バイアル1億円とか。


>医療扶助は生活保護費の半分を占めているが、生活保護受給者は国保等から脱退して医療扶助を受けることになっているため、医療扶助の適正化については、これまで福祉事務所を設置している市町村ごとに、頻回受診対策等の取組を進めてきているところ。

>国保等に生じ得る財政悪化や支援金等を通じた現役世代の負担増の懸念を含め、国が引き続き応分の財政責任を果たすことを当然の前提として、「骨太の方針2023」に盛り込まれたとおり、生活保護受給者の国保等への加入について検討を加速化すべき。


これこそ 真っ先にメスを入れてほしいところですね。素晴らしいです。


【保険給付の範囲の在り方の見直し】


意味ない処方は切るし、高すぎる薬は自己負担増やしますよ、ということですね



>単価が高額な医薬品の収載が増えており、今後の医療技術の進歩に伴い、さらに保険財政への影響が大きい医薬品が出てくることも想定される。

>こうした中で、保険給付が現状のままでは保険料や国庫負担の増大が避けられない。このため、公的医療保険の役割は基本的には大きなリスクをシェアすることであるとの観点から、見直しを進めるべき。

>諸外国の動向をみると、高額な医薬品について費用対効果を見て保険対象とするか判断する、医薬品の有用性が低いものは自己負担を増やす、あるいは、薬剤費の一定額までは自己負担とするといった対応が採られている。


これ、財務省もちゃんと認識あるんですね。


あまりにあんまりな薬も確かにいっぱいあるので、無制限に保険適用なのはおかしいですよね。


軽い薬は処方いらないようにするのもいいと思いますね。


【年齢でなく能力に応じた負担】


>75歳以上の者の1人当たり医療費は現役世代の約4倍であり、そのうち8割強は公費と現役世代の支援金で賄う構造。他方で現役世代は医療費のうち8割を患者負担と保険料で賄いつつ、加えて後期高齢者支援金も負担。

>年齢ではなく能力に応じた負担とし、世代間の公平性を確保する観点から、75歳以上の後期高齢者の窓口負担を原則2割負担とすることも含めて検討すべき。


おおむね賛成なんですけど、それも結局 自分が若いからってのもある気がしますね。ポジショントークでしかないというか。

僕もお金がないときは「金持ちから税金とれや!!」としか思ってなかったですけど、数億円の税金を払うことになったら「なんでこんな頑張ったのに こんな税金とられなあかんねん」と思いましたもんね。結局、みんな自己中心。僕も含めて。


まぁ、これも同様ですね。資産家からしたら ふざけんなって話なんでしょうね。


僕は資産もない若者なんで、負担してくださいなと思ってしまいます。



「現役並み所得」の判定を緩くしていくみたいですね。


>昨年10月には一定以所得以上の後期高齢者に2割負担が導入されたが、年齢ではなく能力に応じた負担という考え方に基づき、これを更に進め、原則2割負担とすることも今後の課題ではないか。


わお、最後には全部めんどくさくなって、「もう全員2割で良くね?」って言ってますね。


【令和6年度以降の新型コロナワクチンの接種】


公費でのコロナワクチンは終了しそうですね


【雇用保険財政等】

これも割愛します。

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 とまぁ、膨大な資料の一部を抜粋して掲載したが、本来はもっとボリュームのある文章だ。でも、現在 医師として働いている方、将来、医師になろうと思っている方、全ての方に読んでいただきたい資料ではある。

 今まで、日本は豊かだったのだろう。細かい問題に気を配らずとも国民皆保険は維持できていたのだろう。

 しかし、そろそろ限界がきていて、節約をせねばならない。要するにそういう事だ。

 無駄な医療を減らすことが優先順位が高いとも思うが、医者の給料を減らせ、というのも、民意によって押し切られていくのだろう。少数な方がいじめられるのは、民主主義の摂理だ。


 医師免許に胡坐をかかず、謙虚に生きていきましょう。