今年も医師臨床研修マッチングの季節がやってきた。


一応初めての方に説明しよう。医学部生が医学部を卒業すると、医師国家試験を受験することができる。

それに合格すると、医師免許を手に入れて、晴れて医師として働けるようになる。

医師になると、基本的にすべての医療行為を行うことができるようにはなるが、健康保険を使った医療行為を行うためには、保険医というものになる必要がある。健康保険を使う医療は、要するに、保険証を提示して受ける医療のことだ。基本的には疾患の治療行為に限られる。これによって日本国内では格安で治療を受けることができるようになる。

その健康保険を行う権限を持つために、保険医になる必要があるのだ。そのためには、所謂「初期臨床研修」を受ける必要がある。基本的には、2年間で保険医になることができる。


で、この初期臨床研修、基本的に全国どこの病院でも受けることができる。初期臨床研修を行える病院はある程度規模が大きい、どの診療科もだいたいあるような病院である。病院の大きさは基本的に病床数=入院できる人数で比較されるが、病床数が200床以上くらいだと初期臨床研修病院になれるようである。


東京ヒヤリハットの我々3名は、佐賀大学医学部出身だ。しかし、初期臨床研修は全国どこで受けてもよいので、東京の病院で研修をしている、という状態である。

そして、この9~10月が、初期臨床研修病院が決まる試験等々があるタイミングなのだ。

詳しい制度を説明すると非常に長い文章になってしまうので、かいつまむと、


①医学部生が受けたい病院の試験を受ける。いくつでも病院を受けれる。(試験作成者は病院)

②医学部生が受けた病院の中から行きたい順に順位をつけ、医師臨床研修マッチング協議会に提出する。

③病院側も、試験を受けた学生の中から雇いたい順に順位をつけ、医師臨床研修マッチング協議会に提出する。

④ご希望が合えば、マッチング♡


という感じで、医学生の医者として初めて働く病院が決まるのだ。

で、今の時期がちょうど①が終わり、②と③が行われている時期なのだ。

そして、最近、②と③の中間報告書が発表された。

https://www.jrmp2.jp/chukan/2020chukan.pdf

中間発表なので、この表を見て全国の医大生がやきもきすることになる。

上のURLのものは2020 単年のものである。

一応、東京の病院にマッチングしたので、東京の病院のここ3年の動向をまとめてみた。5時間くらいかかったので是非見てほしい。5時間である。映画が2本見れる。


↓(なんか画像が荒くなるのでフル画質の画像はツイートから)↓

https://twitter.com/kokuro_forever/status/13095645...



全国的には、募集倍率が1倍を超える病院というのは珍しい。特に地方では、どこの病院も基本的に初期臨床研修医は不足しており、就活に困ることはない。初期臨床研修医の給料は病院が出すものの、研修医を受け入れている病院は それによって補助金がおりているので、要するに、研修医を雇えば安い若い労働力が手に入るわけだ。最高。

しかし、都内の病院は、年々マッチングの倍率が上がっていると「言われている」。

なぜこんな微妙な言い方かというと、僕自身が経年で比較している資料を見たことがなかったからである。

なので、僕があの時欲しかった資料を作ってみて比較してみようと思ったわけだ。

結論から言うと、都内のマッチング競争が もの凄く激化している感じはない。病院ごとに人気の上がり下がりはあるが、全体がまっ赤っ赤になってるような状態にはなっていない。

ということで、都内での初期臨床研修を検討しているみんな、今のところ倍率そうでもないので安心して受験してほしい。

年々難化しているなんてこともない。病院を選べば定員割れしている病院なんていくらでもある。

東京には140くらいの初期臨床研修のコースがあるが、超高倍率になっているところは一部だ。全体的にはそうでもない。



なんでわざわざこんな記事を書いたかというと、地方医大生の間では、都内研修マッチングについて よくわからない噂が横行しているからである。

「東京でのマッチングはCBTや試験対策をしていないと厳しい」

「地方からの採用はほぼない」

「東京のマッチングは毎年難しくなっている。」

僕が医学部生の時も、よくこういった話を聞いた。でも、基本的には何のソースもない話だった。

こういうことを積極的に言ってくる地方医大の先輩は、大抵が自分のテリトリーから出たことのない人で、おそらく こういった資料の比較等もしたことないはずの人だ。なんとなく、東京が憎くてネガキャンをしてくる人達なのだ。


こくろーが実際言われた中で一番凄かったのが、とある医者に『初期臨床どこでするの?』と言われ、東京です、と答えたときに言われたものだ。

『東京??あんな水準の低い所で?佐賀で働くのが一番でしょ!』 「そうなんですか?」 『そりゃそうでしょ!』 「先生は東京で働かれていたことはあるんですか?」 『あるわけないじゃない! 東京に出るのね。ないわー』

こんな感じである。その場はなんとなくエヘヘと笑って切り抜けた。

もちろん、全員とは言わない。全員とは言わないが、こういった嫌味を言ってくる先生がけっこういるのだ、田舎は。原因はなんとなくわかるような、わからないような、まぁモヤっとした僻みなのである。

こういう僻みが嫌で地方を出る人は、二度と地方に戻らないので、実際東京に出たらどうなるのか、という話を聞く機会が非常に少なくなる。嫌味をまともに受ける人か、確信的に嫌味を言ってくる人か、そういう人が地方には多い。地方生まれ地方育ち、地方のことを知り尽くした僕から見た地方はこんなもんだ。

そして東京に来て思った。東京では地方の悪口なんて誰も言ってないのだ。田舎からのお江戸への悪口は片思いで、一方通行だった。あんだけ悪口いうの、むしろ好きなのかな? 東京。


とまぁ、この記事で言いたいこと、それは、

「地方民の後輩の皆、自分の進路は自分でしっかり決めて、自分で調べるんだ

これに尽きる。

地方暮らしを否定するつもりは全くない。僕の佐賀生活もとても良いものだった。

でも、地方にしか住んだことない人が都会暮らしを頭ごなしに否定するのは、どう考えても間違っている。知らないもの、経験したことないことについて自信満々に語るのは罪だと思う。


東京ヒヤリハットの動画は、そういった地方に住んでて東京に興味がある後輩へのメッセージ、という裏テーマがある。田舎オブ田舎、THE田舎の五島列島出身で、虫をとっ捕まえるくらいしかやることのなかった僕がが東京でそれなりに やっていけるんだったら、たぶんみんなも大丈夫だよ、そういうテーマである。ここまで読んでくれたなら、ぜひぜひそういう視点で動画を見ていって欲しい。僕の5時間も報われるというものだ。チャンネル登録してね。頼む。




エクセルを作りながら見た貞子vs伽椰子は微妙だった。なんじゃあのオチ。